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パンズ・ラビリンス

El laberinto del fauno
☆☆☆☆☆
2006年 メキシコ・スペイン・アメリカ
原題:El laberinto del fauno


1944年スペイン。
内戦で父を亡くした少女オフェリアは、妊娠中の母と共に
山奥でレジスタンス掃討の任に就いている母の再婚相手の軍人のところへやって来た。
おとぎ話に心を遊ばせる彼女は、その途上で一匹の妖精を見つける。
それが試練の始まりだった…
---------------


結構前評判が良かったので期待して観ました。
「ブレイド2」や「ヘルボーイ」なんかで名前を知ってるギレルモ・デル・トロ監督の
ファンタジーというか、おとぎ話というか、そんな映画です。

で、感想ですが
期待通りといったところでしょうか。これは楽しめました。
内戦の最中という荒んだ環境、そこに響き渡る軍靴の足音、
そしてそれと平行して存在する
決して都合の良いおとぎ話などではない、おどろおどろしい童話世界
全編通して漂う重くどこか絶望的な雰囲気に、二時間じっくり浸ることが出来ました。
大人向けのファンタジーとしてオススメであります。

以下ネタバレ↓


・結局のところ王女、そして地の底の世界という設定は
はたしてオフェリアの現実逃避に過ぎなかったのか
それとも確かに存在するものなのか
その辺については最後までぼやかしたまま…というか
観る側にゆだねるということなのだろう。

・最後のシークエンスにおいて「壁の岩が開いて奥へ進むことが出来た」はずなのに
その場所に後から追いついている大尉、
オフェリアと話すパンの姿は見えず、声も聞こえない大尉、
そして意識は地底の王国にありながらも
現実世界の横たわったオフェリアの前で泣き崩れるメルセデス
そして別に大蛙をやっつけたからといって元通りに咲き誇るわけではない木…
といった具合に、
「結局、これは現実逃避の妄想以上のものではなかった」ということを
示唆する描写はいくつもある。

・しかし同じくらいの配分で、
扉を閉めて閉じ込められていたはずなのに
そこから(チョークを使って)抜け出すことができたオフェリア、
(マンドラゴラによって)母親の熱が引いた、
最後に(大蛙をやっつけたことで)ひとつだけ花が咲いた、
といった風に
それ(地底の王国)が確かに存在し、オフェリアの冒険もまた実在のものだったのかも知れない、
ということを示唆する描写もあるわけで。

・つまるところ、観る者がどう考えて感じるか、それ次第ということか。
こう、どれもはっきりと描写はしないというこのバランス感覚は
上手いなぁと感じますね。

++++++++++++++++++

・で、とりあえずその問題(王国が存在したのかどうか)については置いておくとして、

・「言われた通りに疑問をはさまずやるのは心をなくした人間でしかない」というのは
先生の台詞でしたが、
それに被せるようにして、終盤のパンの「言われた通りに」という再試練があったわけでして、
結果的に、(オフェリアの妄想であったのかどうかは別として、)
人間らしい選択をすることが正解であった、という風に描かれたわけです。

・これがオフェリアの妄想だったとしたら、
「こうすることが正解だから」「自分は正解にたどりついて報われることができた」
という風に無意識に働いたということになるんですが、
しかしオフェリアは先生のその台詞との接点はないわけで、
「こうすることが正解」という風には、無意識レベルでは考えは及ばないのではないかと。
そう考えると、やっぱりオフェリアの世界は実在したのだと
観ている側としては考えたいわけですが、
しかしこんな風にいちいち理屈をつけてそれを証明しようとしていること自体、
妄想だったのだという風に理解してしまっているということなのかも知れませんね。

・というより、これはむしろ、テーマとして
魂の救済とはそういうことなのだ、ということを
描きたかったということなのか。


・とても痛い、イヤ~なグロ描写もたくさんあったが、
これはいま存在している現実世界の嫌さの象徴みたいなものだろうね。
描かれ方のバランス的に
決してどちらかに偏らず(むしろ現実世界の方が多かったくらいだな)
平行して描かれたからこそ、逆に童話世界のリアルさが増したのかも知れない。

+++++++++++++

・思いついたので追記。
たぶんあんまりこういう考察自体、意味はないものだとは思うんだけど、
メタファー的な視点から見ると、
三つの試練ってのは
1、木の幹(=地面に空いた穴=子宮)の中から出るということ
2、食べる(食欲を満たす)ということ
3、自分のために他者に犠牲を強いるということ
という具合に
人間として生きることそのものの象徴なのかも知れない。

で、結果的にそれらを放棄する
つまり言い換えれば「執着を捨てること」こそが
魂の救済に繋がったのだと考えると
ちょっと興味深いところがある。

theme : 映画感想
genre : 映画

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「パンズ・ラビリンス(PAN\'S LABYRINTH)」映画感想

79回アカデミー賞で3部門でオスカーを獲得した、というより外国語部門で善き人のためのソナタと争って、本命視されたりしてい

comment

Secret

まいどどうもです

最近のファンタジー作品の中ではダントツの出来でした。
現実と幻想との比較を哲学的に分析しているのは流石ですね、そんな事はあんまり考えずに見てました。
マンドラゴラの泣き声を聞いたものはどうなるのか、というファンタジー世界の定説を思い知らされました。

>びよさん

いえいえ、観ながらそんな事細かに考えているわけではなく、
あとからあれこれ悩んだ末にぐだぐだ書いているだけですので(^^;

>マンドラゴラ
これも、泣き声が死を招いたようにも見えるし、かといって直接的にそのせいで(魔法的に)死んだという風に描かれているわけでもないんですよね。
やっぱこのさじ加減は絶妙です。
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Author:Manbo
exciteブログの使いづらさにうんざりしてきたので引っ越しました。述べられている感想はあくまで私まんぼの極私的・個人的な感性に基づくものであり、作品の絶対的な評価というわけではありません…ということを一応断っておきます。

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